或るラーメン屋/ふじりゅう
付けて
自分へ閉じこもってしまう。
煙なのか湯気なのか
見分けがつかぬほど霧がかった視線は
あえてLINEでも、Twitterでも
Facebookでもなく、
やけに狭いラーメン屋の壁に貼られたビラへ。
どうやら「吹奏楽フェスティバル!」と
書かれてあるようで、
日付は…3年前か。
学生か教員が(わざわざこの店に)
頼みに来たのだろう。
バケモノみたいにイカつい親父だが、
こうして貼り続けているところに、
この店が何十年も続いている訳を知る。
吸い終わった丁度くらいに来たとんこつラーメンは、
大して不味くも美味くもない。
だけど、たぶんまた来るだろう。
貼られていた吹奏楽のビラが、
3年前、2年前、1年前、
そして今年と、続いていたのだから。
一服。うまい。背中へ
ありがとやしたァ〜
なんていう掛け声。
ドアを開けるといつの間にか夜の商店街
また社会の激流へ 飲まれて行ける。
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