旧作アーカイブ4(二〇一六年三月)/石村
いつも
なくされたまま そのさまよひを 続けるだけだ
私の願ひと お前の願ひが――お前とゐた日々の
訣れたもの なくしたものは いつか ひとつになると
したしげな 稚いものたちの歌がきこえ さうして
木立の中を歩む季節が 僕らに かへつてくると
(二〇一六年三月一日)
夕べに
〈Prelude〉
しづけき夕べに
心まどかに
風すずやかに
身をあゆませる 野辺の道
思ひ出すのは……
?
「――ほら 最初の星が見えた
あすこまで行かう」
すると君は笑ひ出した
僕も笑ひ出した
何がを
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