系図/ぽりせつ
 
たったひとつ足りないばかりに
水になれない命がこの世にはあるのだから

たったひとつの決まりごとのために
美になれない命があっても おかしくはない

 (だからこそーー )
ふと眺めた死 祖先たちの積み重なった空に 
おとなたちはあやうく墜ちてゆきそうになったり
こどもたちは
「あんそろじあ!」と云いながら 未聞の解剖学によって
せかいのひみつを毟ったりしてきたのだ

 (その柔かなゆびで うすい羽をやぶるほどの
  容易い決まりごとと信じて )

ときに稲妻によって
ときにつつじの枝によって
そしてときに 枯渇した大地のひびによって
人がことばを発明するはる
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