ナイフみたいに雲は笑いながら目を覚ましていった/竜門勇気
 

椎の実が秋には
たくさん転がってる
あの場所に
君は僕を埋めた

色の名前がついた
色んなお土産を
春も冬も
関係なく供えていく

通りを歩く野良猫たちが
きょうはやたらと多かったから
そんな言い訳で
根っこの腐った草の
花びらを持って立っている
その手を
高く上げて指を開いた
指を開いて笑い転げた
きれいだ

作られた生け垣
ここまで来たら嘘もないから
土を見透かす視線が刺さりながら
僕は居心地の悪さに比べたら
幸福なんてどうでもいいと思い始める
作られた生け垣
花びらの流星

埋めたのは君だろ?
固まった血の塊のように
風は吹く
花びらの流星
刺さった視線が優しく抜かれていく
長い髪を揺らめかせて空を振り返る
ナイフみたいに雲は笑いながら目を覚ましていった
戻る   Point(2)