わたげ/ふじりゅう
 
寝っころがってばらまけて
害虫に食べられて
とびでたら小さな背中
道でふまれた

ふわふわ浮かんで
どこへゆくのわたげ
命をそまつにしないで
戦わなくていい
きれいな手のまま大好きな貝がらを
そっと包んだままのように
いてほしい

渚で水あそびした濁りのない声は
空梅雨の晴れやかに負けない紐解きは
卒業アルバムのかたほとり

うしろ振り返れば
足跡も記憶の中
つまらないため息に
惑わされないで

ふわふわうかんで
どこかへゆくわたげ
命をそまつにしちゃだめ
戦わなくてもいいから
恥ずかしくても
逃げ出しても
夢心地でいいから

寝っころが
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