手花火や照らす横顔初化粧/ふじりゅう
摩耗したビデオテープのような1日のおわり
彼女はやたらめったら手を振った
深夜のGoogle
作戦会議と称すぼんやり
知ること貰うこと奪うことを
求めカラスのように
羽根広げなないろの疲れ
ひとあくびしたあと意識ない
夏祭りの余韻で惚けた空 雲は
「いつも」の分子と混ざりまろやか
「普段」が目覚めた家々
手花火静か 照らされし君の頬
まだ鮮明な一等星のひとつ
水汚れの鏡の隅の
化粧の粉を拭っておいた母の
清濁入り混じる微笑みは
蛇口の水音はじけて分からない
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