真実はやさしさの欠片もなくて/こたきひろし
師は芸術家の極みであるとさえ思えた
彼が一つの作品を完成させる為にした行為は人として
到底赦されるものではなかった
自分の芸術を手に入れる為に我が子を犠牲をにすることに何の躊躇いも持たなかったのだ
そしてその作品の完成させた後に彼は人間性を取り戻し、自分のしたことにおそれに打ちのめされて
自らの命を絶った
勿論私ごときはそんな芸術家の高ぶりなど持っていない
しかしそれを少なからず希求する意識が私の根底にあるからか
闇雲に書いているのだろう
私はやさしさの欠片も持たないが
沢山持っているように見せかけている
凡人はそうしていないと生きるのに
不便だから
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