欲望は漆黒のような深紅/ホロウ・シカエルボク
 
に深い階層の俺自身を引き摺りあげてくる、俺は束の間目の前に現れたそいつの手をしっかりと握って、その先に向かうための指針とする、聞け、乱雑さを悪とするな、整理されることを良しとするな、そこにあるものをそのままに見つめて、視覚情報として得たものの裏側を、奥底を、どこまでも探っていくんだ、始めに言っておく、そこに終点はない、それはどこまでも続いて行く、先に向かうことが億劫になっても、そこで終わりだと決めてはならない、知るべきことに終わりはない、狂気こそが真実を知る、きちがいのように求めるのだ、モグラのように掘り続けろ、巨大な岩は迂回することが出来る、そこがどんな場所でも、目の前に広がるものだけが世界ではない、俺たちは到底知り得ることのない巨大なフィールドに立っている、生きている限り求め続けることは不可能ではない、立ち止まった場所で自分を誇らしく語るのはやめておけ、それを正当に見せようとしている間にいろいろなものを見落としてしまう、ハッハ!また新しい俺が引き摺り出された!俺はそいつの手を握り締める、そいつからは深いところにある内臓の湿度と血のにおいがする。

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