欲望は漆黒のような深紅/ホロウ・シカエルボク
 
認識するには、見えていない部分のことを知ろうとしなければならない、視覚情報はただの入口であって、すべてを語っているわけじゃない、爪を切ろうと思いながらあらゆるものを眺めていると、爪を切った後になにをするべきかということも考えることが出来る、俺にはお前の心の奥にあるものが見える、それは俺が狂気をもってこの世を謳歌しているからだ、正気がこねくり回した真実の中だけで遊んでいるお前の、倍近くもある振り幅の中で俺は生きている(これを自慢話だと思うか?)、ひとつの現象に対して少なくともふたつの見方がある、だから俺は結論を持つことがない、だからこそそれは最も真実であると言えるのだ、俺は限界のある個体でしかないか
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