なつぐも 他二篇――エミリ・ディキンソンの詩篇に基づく(再掲)/石村
らには よめるのでしょう
わたしはぼんやりとそこにすわって
耳をすますでもなく 夏雲をみあげます
すると次の年へゆくさやかな風が
そのひとのうたを はこんできてくれます
わたしがここらに落としていく記憶も
この風がひろいあつめていくでしょう
そうして百年後の夏あたり
またこの野原にもどってきて
夏雲をおいかけてここにきた
旅びとにでもわたしてくれるでしょう
{引用=AFTER a hundred years
Nobody knows the place,?
Agony, that enacted there,
Motionless as peace
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