「閉店」の張り紙は今日も/ふじりゅう
 
桜並木から運ばれた花びらや砂利が
しみったれた街道を明るく染め上げる
肌寒そうにぶらり スーツが歩く
俺は生きたい そう
空腹が告げている 日中
微かに陽の当たる 路地を抜けていく

「閉店」

それは砂に汚れながら
悲鳴のように ビラビラっと
遠吠えをあげていた お馴染みの
日替わり定食の看板はチンケな
この紙切れひとつに 取って代わられた
二度と開かぬシャッターの奥に
何処へゆく老夫婦よ レジ打ちの達人よ

よく陽の当たるコンビニは
桜のスタンプ 散らばりぬ
含むおにぎりやLチキの
不満足感よ
だけど俺は あなたたちは 腹を満たしたい
きっと今も なり続けてるだろう ビラビラっと
どうして桜の舞踏会は 警鐘を鳴らされたような心を 色づかすのだ
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