枝/ミナト 螢
 
空へと向かって
伸びる手の先は
まだ開く前の
蕾を留めた
ボタンみたいな
小さな王国

掛け違えることなく
咲く花を
手紙に添えて
送るほどピュアな
時代を思えば

今や写真で
伝わる気持ちに
押され気味で
枝がその手を振れば

花を散らせて
僕等を黙らせる
唯一の仕草を
誰かと見たい
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