常識のコレクション・序2/れつら
あなたは右耳が聞こえない
あなたは一つくらいは誰にも言えない秘密があり、それを隠したまま死にたい
あなたは何かを期待されることをプレッシャーに感じる
あなたは波風立てずに生きていきたい
あなたは目が見えない
あなたは孤独だ
あなたはひとりでは歩行できない
あなたは感情をうまく表現できない
あなたは自分の人生に呪われていて、けっして他人にはなれない
あなたは自分の選択肢を自分で選ぶことくらいしかできない
あなたは列に並んでいる、決して追い抜かしたりはしない
あなたは誰かが暴力をはたらいているときにも、冷静に判断する
あなたは街中で急に気が動転したりしない
あなたはいつも自分が正しいと思うことをする
あなたは常識的な人間だ
あなたは普通に生きていて、あなたはそれでいい
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