恍惚/ミナト 螢
 
桜散りゆく偶数の月に
解き放たれし夏の日へ進む

理由があるとすればあまりにも
陽射しが見事に肌を光らせた

両腕をくすぐる生ぬるい風
袖を切ったのはいつだったっけ

みんなの意識は上を向いている
日傘で隠した身体を泳がせ
海を眺める水平の視線に

まだ誰も追いついてないのだから
時の隙間を縫いながら生きる
順番なんてどうでも良いけれど

春の中に置く心は静かで
夏へと急ぐ足は早くなる

こんな一瞬に感じる何かを
見逃さずに行くこの道が好きだ
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