夜のパレット/
ミナト 螢
都会に出た日は格好付けながら
踵を踏まれず歩きたかったし
一発で止まるタクシーが好きだ
車の窓に映る夜景は多分
いつか燃えなかった
花火のように明るい顔で
さよならを言うよ
飛び交う無線が流れてもきっと
カタコトの言葉だから気にせずに
音のない宇宙 光だけの色
確かめたくなる空気の重さに
舌を出したなら赤いいちごの
シロップの跡がひとつ加わる
イルミネーションは
どんなものにも宿る
パレットだあなたも私も
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