春の花の夢見/秋葉竹
船はいつものように鎖でつながれるだろう
青い月あかりが尖った夜の冷たさで
恋人たちを未来へと追い立てるだろう
ビルの上を飛ぶアホウドリの
啼き声がなにを求めているのか
大空を見上げて待ちわびる自由の民には
悲しすぎてなにもわからないだろう
桜の木の下で
うっすら疲労の表情を浮かべる
戦い終えた戦士の夜に
翼なきものの真実の心と
その心の休息を取るふたりの玉響(たまゆら)
魂の半身を見つけ合ったものたちの
すべての覚悟が語られる夜が来るだろう
神様への祈りをそっと
小さな御守りを両手でくるみ
唱える定めのときを知るならば
空のポケットに満たされた
宙ぶらりんの虚栄心のなかみを知り
暖かな花見の帰り道に
狂おしい異国の砂漠の砂嵐を幻視するだろう
そしてそれよりも
世界の外に夥しい冷たい風が吹く光景を
今日もふたたび夢見る夜になるだろう
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