ニュータウンと都心の間/うめバア
 
小学校からおとなになるまで、住んでいたのは
なにもかもが真新しい郊外の住宅地だった
白い壁、真っ直ぐな道路、ピカピカのスーパー
それ以外に何もない
それが当たり前だったから
都心から1時間半、そこからバスで20分

東京で暮らすようになってから
ふるい、ふるいものが、さらっぴんの新しいものと
混在していることがおかしくて、悲しくて
時にうとましかったりもした

新しい町だった郊外の住宅地は
古くなり、草も木も伸びた
真新しい公園ではしゃいでいた子どもはもういない
モデルタウンと呼ばれた私の町は
いまや高齢化と人口減少のモデルタウン

最先端の都会のなかで頑強な古さを守る一角と
時間とともにあっという間に寂しくなった郊外と
そのどちらもが私の文脈となった今
私は、いつも
どこでもない場所に帰ろうとしている

ふるくてきたないものが
あたらしくてきれいなものに変わることの
悲しさ、おかしさ、くやしさを
ぎゅっとこらえて
ふうっと力を抜いて
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