進学や就職/渡辺八畳@祝儀敷
愛郷心が無いわけじゃないけれど
でもどうなんだろう
考える暇も無いままに僕らは出ていく
二度とペンキが塗り替えられることの無い駅前は
剥げて掠れて読めない定休日がずっと並んでいる
読めないから定休日なのかもわからない
わからなかろうが、どうせ入る人はいない
知性と繁栄を昭和に置き忘れてきた
口が半開きな痴呆老人がひとり
蟻よりも遅く歩いている
静止画のような風景で横断歩道の信号が点滅する
地方には何も無い
地方にも昔は有った
県庁所在地でない市でも
白黒写真を見れば羨ましき活気が感じられ息苦しくなる
地方には何も無い
地方にもまだ何か有るのかもしれないが
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