ある面影の臨終に際して/Sisi
時よ止まれ
未だ少年達が眠る森の奥で
狼達の亡霊が悲愴な遠吠えをあげる
彼らを悲しみのうちに留めてしまったのは
恐らく私の責任なのだろう
瑞々しさを失った庭園は
朽ちてゆくドライフラワーのように密やかに微睡み
少年達の眠りを妨げぬよう
夕焼けの祈りは空の海へと向けられる
皆が笑っている
誰かは泣いていたかもしれない
気恥ずかしそうに
私達は手を繋いでいた
皆が黙っている
誰かは呟いただろう
それを知っているのは
きっと私だけなのだ
肩越しの風に呼ばれて
私はその度に振り返ってしまった
回転木馬のように変わらぬ景色が
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)