青色吐息の彼女の日常/秋葉竹
 
そんな日常なんてと
彼女はいうけれど
じっさいのところ

甘いビニールの匂いがする
黄色いラバーダックが
キッチン洗い場で
逆さになって溺れている

小さな白いビー玉みたいに
勢いよく水流が
蛇口から出てきたので
慌てて蛇口をひねって止める

今日は雹が降ったから
青空もすこしけんか腰で
雲のすぐ上まで下りてきている
流されてしまった怪物の対価は
地上に届くことなく浮かんで漂っている


いずれ夜も夜でなくなる日
おだやかな風が
世界の終わりに降りしきり
搦めとられる心は
迷子の子供の泣き声の震えを帯びる

語るなら
ラブバラードに乗せて

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