冬の熱病/Sisi
 
やはりあなたであったのだ

金魚のように
ひらひらひらりと
わたしの世界を翻弄するのは

あの冬の、最後の空をもって
鍵穴を持たない錠を
解くことができるのは

或いは、時を超越して
花弁を千切るわたしを
つかまえることができるのは

あなたしかいなかったのだ


なのに不思議なこと
もうあなたの声さえ、思い出せないなんて




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