オルタネイト・ピッキングの幻想/ホロウ・シカエルボク
 
だ理由にはならないし、第一その頭蓋骨には妙な親近感を感じた…俺は頭蓋骨を手に取ってストールを下り、机の上のスタンドをつけてまじまじと眺めてみた―その歯の並びには見覚えがあった、頭の形にも…眼窩の奥に潜んでいる結晶化した薄暗い感情にも…「これは俺のものだ」俺は両手でそれを捧げ上げてそう叫んだ、陳列されている頭蓋骨がカタカタと笑った、俺は頭蓋骨を机に置き、床に寝転んだ、運動場の砂のように埃が舞い上がり、しばらくの間咽込んだ、あれは俺のものだ、と、俺はもう一度繰り返した、理由はわからないが、それはそういうことになっていたのだ、そうとしか思えなかった、俺はいろいろなことが楽になったような気がした、天井の雨漏りはいまやあらゆる場所へと広がっていた、あらゆる場所から雨が落ちて来ていた、でも雨の音なんかもう聞こえていなかった、唇の端に落ちたそれをなめると、錆びた鉄のような味がした、頭蓋骨は笑うことを止めて、俺の動向を注意深く見つめている。


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