オルタネイト・ピッキングの幻想/ホロウ・シカエルボク
歪んだ頭蓋骨は陳列され、天井のひと隅から滴る雨水は床に暗示的な不協和音を作り出す、お前の罪の名をその情景に添えよう、次に来た誰かが腐肉の臭いを飲み込まずに済むように…黒猫がひとつ、自分の毛並みを整えるたびにアドレス帳から誰かが削除されていく、その空白は夜とも明けがたともつかない時間に垣間見る夢のように覚束ない、飲料水の押しつけがましい潤い、まるで喉が蛍光ペンキで塗り潰されていくみたいだ、それでもきっと、それでもきっと―カラカラに渇いてしまうよりはマシに違いない、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの足音、ひとつ教えといてやろう、夢が覚めるときに自分を疑ってはいけない…雨降りと快晴が交互に訪れ
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