海を見ていた /山人
 

薄明るい室内灯から反対側を見ると
未来に疲れた君の横顔がゆれてみえた

       *


あの日の貝はじっと目を閉じた
大海へ出て深海に沈み
ふたたび波となって横たわっている
テトラポットを過ぎ
ちいさな漁船が散らばり、海鳥が舞う
侵食された岩が幾何学的な紋様を呈し
波は再びまた海へ

いくつもの果実がくだけ
角質化した瞼をこじあけている
かつて見たことがあった、砂浜が続いている
あの時もこうして同じ目をして海を見ていたのだろうか
私は海の横を走るバイパスの車の中で
生の吹き溜まりへ急ぐトラックを眺めていた

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