小さな春/朝焼彩茜色
 
あの春から この春がやって来た
馨りはまだ手のひらの上
ふわっと小さな宇宙を乗せて
ここへ ここへとやって来た
呼び覚まし 瞬間にカチッとアルバムにはまる
大事な 大事な一期一会を刻んで 切なさに
頷いて  歩んだ消えない足跡の付箋のページに
陽だまりを手招いて 背筋を伸ばす
瞳と心を繋ぐその踊り場で 
新しいもの そのままのもの 
それと さよならするもの
この春の中に綴じ込める
馨りの鍵をしめ
ふわっと大きな宇宙へ預ける
半分上の空で委ねられて
ここへ ここへ また巡ってくる
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