ノート(外国人とジーンズ)/木立 悟
 







真夜中に
外国人が部屋に来て
ジーンズを穿かせてほしいと言ったので
つぎはぎの古いジーンズを渡した
そのまま何日か
居つづけた



ある日 外国人が
ジーンズを貸してほしいと言ったので
母が丁寧に繕った大事なものなので
必ず返してほしい と言った
扉が閉まり
居なくなった



あなたに触れられたくないと
遂に言うことができなかった













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