こらえる犬/秋葉竹
 

小さな神様は二人いて、一度現れて
そして影となり、二度と現れなくなった



とてもむかしから飼っている犬がいる
夜は犬小屋で静かにしている

死んだような影を落として
鳴き声をこらえている

さいきんでは遠吠えを忘れたようだ

もう、長くないのかもしれなかった

水の無い川があった

是山橋の上から
薄日さす河原を眺めた

犬は飼い主を探して
転げまわるように運命に操られていた

ほんとうに大切なことは
すべて犬から教えてもらったけれど

けれど

犬が言葉を喋るわけもない
こともないにしても、
尾っぽをヒラヒラと振りたくり
丸い目をして伝えたかったのは
ただ新しい冒険に出よう。
そんなことより
魅力的な影がある、
のが真実だとしても。


二人の少年の笑顔も泣き顔も期待どおりだとしても




小さな神様は二人いて、一度現れて
そして影となり、二度と現れなくなった



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