疲れた/
やまうちあつし
鈴木課長の席に
アリクイが座っていた
同僚たちは
あれ、と思ったが
それが課長の本心なのかな、と
それぞれの仕事に戻る
仕事は終わらない
窓の外では
初春の風が
ビル街の上空を
気持ちよく吹き渡っている
人工衛星はその頃
小惑星に着陸し
生命誕生の起源を
突き止めようとしていた
アリクイは
鈴木課長の鞄を
長い舌を伸ばして精査している
疲れた
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