重力/あおいみつる
 
春の空は霞んでいた
梅の花もほころび
ダウンジャケットをリュックにしまい
自転車にまたがり坂を下る
気分は爽快なのだが
次第に世の中の見えない重力が肩にのしかかり
理想的な春の日も消滅する
誰が悪いのか
俺が悪いのか
矛盾だらけの不完全な世の中に期待しては裏切られ
傷ついて
へとへとになっても死にきれず
飯を食らい
風呂に入り
冷たい寝床に入り
背中を丸めて眠る
いつもの夢は深層心理の産物のようで
本当の俺の心を映し出しているのかと
それを悔んだり
懺悔したりして目を覚ます
トーストにコンビーフを塗りたくり
コーヒーで目を覚まし
また一日が始まる
理想の一日を目指し
今日も坂を下る


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