蜜柑星/
やまうちあつし
私の足はすぐに疲れる
私の口は嘘ばかりつく
私の瞳は真実を見ない
私の指はペンを持たない
ノートはいつも白紙のままで
作品が完成しない
壊れた天使を抱いている
という詩を書こうと思って
書けていないままだ
一本のサックスのように
生きることはできないだろうか
それに寄り添うピアノのように
側にいてはもらえまいか
通勤途中に立ち寄った喫茶店の
いつもの席には人がいた
今日の夕方には
雨が降るという
それでなんだか
救われる
戻る
編
削
Point
(3)