蜜柑星/やまうちあつし
 
私の足はすぐに疲れる
私の口は嘘ばかりつく
私の瞳は真実を見ない
私の指はペンを持たない

ノートはいつも白紙のままで
作品が完成しない

壊れた天使を抱いている
という詩を書こうと思って
書けていないままだ

一本のサックスのように
生きることはできないだろうか
それに寄り添うピアノのように
側にいてはもらえまいか

通勤途中に立ち寄った喫茶店の
いつもの席には人がいた

今日の夕方には
雨が降るという

それでなんだか
救われる

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