でかぷりお/ツノル
 

レジは二つだけ稼働していた。
既に夕方のピーク時は過ぎていたので、客の気配もまばらだ。
係の若い女性は三枚の500円券にチェックの罰印をいれていた。
そこへ順番待ちをしていたキャップを被ったデカプリオ似の男が話しかけた。(お箸を一膳くださいね)
デカプリオに似ているとはいっても、目元がそのように映るだけで、マスクの下から白髪混じりの顎髭が伸びていて、中高年であることには違いないだろう。
(少々お待ちください、少々お待ちください)アルバイトのような若い女性はチェックを入れながらぶっきらぼうに返した。
終わると買い物かごにある商品の金額を打ち込みだした。
男は再び話しかけた(お箸を一
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