猫だったころ 作:猫田川漱石にゃ/パン☆どら
ボクが猫だったころ
つがいだっただったキミは
今は別の男と暮らしている
キミのことを想うと
胸に小さな穴が開く
そこから風が吹いて
時には小鳥の声で鳴いたりする
穴は次第に広がって
ある日
ボクは鰹節になった
それを拾ったキミが
みそ汁の出汁に使っている
なんだか懐かしい香り
そういいながら
具には
ボクの好きな絹ごし豆腐とさやえんどう
桜咲くころ
二人でよくじゃれあって遊んだね
湯気の向こうで
あの頃の猫たちが笑っている
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