最後の一羽/やまうちあつし
 
リョコウバトはハト目ハト科の渡り鳥である。鳥類史上最も多く生息していたとされ、一時の個体数は、五〇億羽に上ったといわれる。

巨大な群れをつくるのが特徴で、二二億三〇〇〇万羽以上が推計された記録もある。ある人の日記によると、頭上を通過中のリョコウバトの群れが、まるで空を覆い尽くすかのように三日間途切れることなく飛び続けた、ということだ。

その数が減少したのは人間による乱獲が主な理由だが、端的に言って、美味だったのだ。

先住民も移民も同じようにその肉を食用とし、都会では良い値段で売れた。人々は銃や棒を使用して捕獲を行った。一九世紀に入り電報などの通信手段が発達すると効率的な狩猟が可能
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