FADE OUT(そのなかにはっきりと聴こえるいくつかの音)/ホロウ・シカエルボク
 

心情の中で黒い蛇がのたうっている、標的を知らないまま見開いた、血走った視線の先にあるものはあまりにも頼りない虚無だ、絶えず鳴り続けるノイズだけが自分の存在を知らせ続けている…特に冷える夜、特に冷える夜の、術無き者どもの葬儀のような夜だ、感覚は死んでいる、いくつかの線が断線しているみたいに、どんな信号も脳内を行き交うことはない―ただ、ノイズと―鼓動だけが闇雲に、重く沈み込むようなビートを刻み続けている、闇に溶け入る亡霊の戯言だ…小さな言葉が欠けたガラスのように床に落ちていく、それは横たわった皮膚に見えない傷をつける、正体の判らない痛みだけが増えていく、氷に心があればきっと、そんな感覚を語るだろう
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