崖の上の星座(ほし)/犬絵
穿つ
一点の水滴
たえまなく
焦らず
おごらず
白い石、穿つ
ダメな
期待を
いだかせない
過去の自分自身を
穿て
刃物のような崖から見降ろす
目の前の荒海が騒ぐ
ならば
メロディーが
囁きかけるあのころの
過去の夜
冬の星座(ほし)みて
とりもどした
淡い希望
一滴
それよりもゆっくりと歩く罪、
峻烈な
自分を
夢にさえ見れずに泣く胸の裡(うち)
吹きすさぶ
白い霊舞う荒海を正面(まえ)に
見えないもの
おもいという
不自由なもの
を
真っ正面から、
見降ろし、睨みつける
荒海の
まえに立ち居て
ただ自分自身の
苦しみを
斬る
崖の上に立ち
海の生物たちの
騒がしい求愛の声を聞きたい
そして
冬の星座(ほし)の
冷たさに触れて
人のひとりの孤独の色を
しばらくは
それは
いつかは溶ける氷の色だからと
偽わっていたい
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