家族/いっと
 
あなたの言葉は
表面を滑りながら
いつも
知らない
誰かのために放たれていた
たどたどしく、伝えても
遮ぎられて
あなたには届かない
雨粒に穿たれる石のように
心はなめらかに
すり減っていく

時が経って
気付くと
わたしとあなたで
共有するものが
減っていた

少しずつ他人になっていく

あなたのためと言われて
わたしはいなくなって
あなたの声も聞こえなくなって
わたしは家を出て
あなたはわたしになって
そして
誰もいなくなって

ここに残るもの
あなたの影、わたしの吐息、

いつの日かまた孵る
きっとあなたの元に生まれる
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