桃/ミナト 螢
セーラー服の第2ボタンの下
見えない手形が押されたあの日
腐った果実と一緒に捨てた
体の行方が心とはぐれて
ダスターシュートの入り口で死んだ
触れることも触れられることも
許せなくなる自分に生まれ変わってから
幾つもの愛を割って来たんだ
みんなは美味しい桃をかじって
甘いヨダレを垂らすのが好きだ
追いつけなかった青春の終わり
止まってしまった成長の振り子
自分を殴るような気持ちでいる
強がりのせいで隣はガラ空き
私だけが棘みたいに立って
桃の皮を剥いていかれるんだ
痛くなかったと言わせてくれる
優しい気持ちをいつか知りたい
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