ある日のえんばー5/若乱
 
(つづき)
花火とは神様の、空のホコリ叩きなのだ。ぬるくなった秩序や人の営みを正しているのだ。しゃっきり、姿勢を正して生きなさいと。そしていつも少し叩きすぎる。空が、ほんの少しだけ割れて、死が人界にポツン、と一粒垂れるのだ。死は真っ暗な中人界に落ちて、明るさから逃れるように、暗がりにこっそり隠れている。そいつは腰ほどの大きさで、やせてて、猫背で、いきなり落ちてきた慣れない環境におびえるように暗がりにいる。しかし暗がりは愛にも多用されるのだ。だんだんと暗がりという暗がりが、愛(性交してる男女)に奪われ、居場所がなくなり、耐えきれなくなるように、通りの人がいる明るみに、転がるように死がはい出てしまっ
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