ユウヤケザウルス/やまうちあつし
角を曲がると
恐竜がいた
なんだかとても
しょんぼりしている
どうしたんだい、
と声をかけると
絶滅しちゃった…
と声を詰まらせる
仕方ないじゃないか
詳しい事情は知らないけれど
隕石の衝突か何かあっただろう
君たちの責任ではないさ
そう言ってなぐさめるも
恐竜はうなだれたままだ
だいいち君はどうなんだ
君がこうしてここにいるからには
絶滅したことにならないじゃないか
そう言いかけて
思いとどまった
おそらく一人が
いやなのだろう
それとも目の前の
頑丈そうな恐竜は
ゆうれいだとでも
言うのであろうか
結局
何も言わずに
一緒にいてやることにした
夕日が空を
橙色に汚してゆく
あの日もこんな夕焼けだったと
この上なくしょんぼりしている
二丁目の角に
行ってごらん
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