誰も知らない街/小卒
 
時々 遠くへ行きたい気持ちになる
誰も知らない所へ 行きたい気持ちがする

電車に乗ろう
中央線に乗り込むのだ
寒い八王子を出て
霧の立川を抜け
雨の吉祥寺を過ぎ
暑い新宿を超える

平日朝の七時過ぎ
この電車には 誰もいない
僕だけ一人 誰もいない

横にだらぁんと伸びた椅子と
朝日に当てられ背伸びする影

街はただ走る
僕を置いてただ走る

遠くへ 遠くへ 遠くへ

誰もいない東京へ 何もない東京へ

僕だけが知っている
僕だけが 俺だけが 知っている

誰もいない東京

俺だけが知ってるんだぜ?
俺だけが知ってるなんて・・・

こんなに遠くに来たのは 初めてだった
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