ニット/
しょだまさし
鈍よりとした黒雲は流れて
幾分晴れ間が見られたが
風はより冷たく強く
冬枯れの並木道の両脇は
前日の雪が灰色に汚している
僕は両手を不自由にされ
時々両足を中に浮かせては歩いた
暗イメージに思えるが
その逆なのだ
温かくて幸せな僕の記憶
まだ若かった両親の間で
ニット類に包まれた
幼少の頃の思い出だ
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