窓が開かれる/葉leaf
感受性というものは人それぞれだが、特定のジャンルのものに特に鋭敏な感受性を持つようになる経験は誰にでもあると思う。例えば音楽に目覚める、美術に目覚める、将棋に目覚める、様々な種類の開眼がある。その中で、私は文学に対して目覚めた時の経験を書こうと思う。
文学に目覚めるに先立って、私にとっておそらく大事だったのは自然の美しさに気づくという経験だった。確か中学二年生ぐらいの時、何気なく実家の庭を散歩していたところ、急にあたりに生えている草木の美しさに気づいたのだ。濃い緑の葉を持つ灌木だったと思うが、私は度数の入った眼鏡をかけたかのようにまばゆく感じたのだ。世界がこんなにも光に満ちたものであるという
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