目眩/ミナト 螢
 
何につまづいてどこで倒れて
誰の手も届かないこの場所で
立ち上がることが怖くなったから
今は目を閉じて時間を戻そう

パールのネックレスのような長さで
繋いできたはずの思い出が揺れて

黒い雲が行ったり来たりして
フラついた後に足を引っかけた

緩衝材が切れた身体には
丈夫な杖を与えてあげよう

苦しみも哀しみも味わって
時には怒りをぶつけたとしても

君が手を伸ばし先へ進むなら
いつか元通りに歩けるだろう

暗号みたいな不吉な震えを
唇に感じた冷たい床で

裸足のスリッパが廊下を急ぐ
体を自由に動かしながら
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