正調 繁殖願望の詩/こたきひろし
土田舎の貧農家だし、ろくな学校出ていねぇし、車は新車を乗った事はねぇ。ずっと中古ばかり乗り継いできた。俺だって新品乗りてぇが、なにぶん金に見放されてるからさ。無理無理なんだよ。それじゃ高嶺の花はさっさと諦めて、低嶺の花はどうだろう?
ばか野郎。低い所に咲いてる花ほどお日様に当たりたいんだよ。おまえみたいな陰気で日影の男なんてい ちばんの嫌われ者さ。
そこまで言われたら俺はこれからどうすればいいんだよ。
俺を産んで育てた母ちゃんよ。あんたの立場と責任はどうなってんだよ。
そんなの知らないよ。母ちゃんはたしかにおまえを産んで育てたけど、畑の役目をしただけでおまえの将 来までも保証する気はさらさらないから。それよりそこまでなるようにしてやったんだから、結果はどう あれ感謝はして欲しい。父ちゃんと母ちゃんに親孝行してくれなけりゃ。おまえを産むに当たって母ちゃ んは痛い思いしたんだからさ。父ちゃんには精一杯頑張って貰ったし。
何だよそれ、息子にさりげなく下ネタか。こちとら種子はいっぱいあるのに肝心の畑が手に入らなくて悶々としてるのにさ。
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