夜明け前/そおっと生きる
 
大きな災(わざわ)いが襲い

今まで煌々(こうこう)と

道を照らしていたと思われた

しっかりと根を張っていない

ちゃちな移ろう灯りは

悉(ことごと)く消え去り

人々は

混乱し

絶望し

沈黙する



その中で

闇を好む奴らは肥え太り

陽に当たると消え去る

宝と思っているものを眺めて

上手くいったと薄笑いを浮かべながら

連日

尽きることのない

汚染水の如き

祝杯をあげる





ただ

一面の荒野の空には

何もなかったかのように
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