払拭/
ミナト 螢
大人になると
目に映る全てに
順番を付けて
幸せを急ぐ
振り切って
好きなものを
選べる力が
正義なんだと
言い聞かせた夜
ミシンをかけた
雑巾の表と裏が
どっちでも同じ
ような気がして
汚れていくのは
寂しいけれど
心を磨いて
視界を開く
やがて時間が
打ちのめされる前に
こびり付いた
思い出の花びらを
背中に乗せて
朝を駆けてゆく
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