仮初め/言狐
 
今年も終わろうかとしているとき
私達は、仮初めの体温を分け合った。

あなたは、ただ36度とちょっとを感じられれば良いという風に私の体温を貪る。

私も、あなたの熱を感じる事は好きだった。

だけど、それは偽物なのだと、あなたは云う。

だけど、それは偽物なのだと、私も理解している。

同じ36度でも、「私」と女性では隔りがあるのだ。

それを見つけている間に、全く新しい朝日が虚しく窓硝子から差し込む。

その白さに私は焼かれてしまう。

あなたが残した温もりだけを感じながら伽藍堂となった隣の空間を、ただただ見つめていた。
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