墓掃除にて/北村 守通
直七が
転がっている
道をぬける
ぽっかりと
あいた
筍の跡地は
そのままになっている
五月からずっと
ちらほらと
落ちた
つつじの花弁は
じっとりと
しみている
ぽつん
ぽつんと
転がっている
暮石に刻まれた
名前は
不鮮明で
暮石の下に
眠っている人々の
物語は
もっと
不鮮明で
私との
関連性も
不鮮明で
ここに
私を
埋めてくれる人が
いるのか
ということも
もっと
もっと
不鮮明で
うわの空で
短くなってきた
竹ぼうきを
それまで通りに
動かしている
今年も
もう
終わろうとしている
戻る 編 削 Point(2)