肉体のサイレン/ホロウ・シカエルボク
 
そうしてお前は海藻のような俺の臓物を引き摺り出す、喪失の感触はあまりにもヘドロを思わせる、トッカータが聞こえる、それはあまりにもマッチしている、俺は呆然と虚空を眺めている、目に映る風景はとっくに意味を失くしている、肉体の喪失を埋め尽くさんと目論むのは有り余っている血液だろうか、でも新しい出口が開いたままでは…呼吸音がかすれているのが分かる、器官になにかが詰まっている、あるいはなにかがせり上がってきている、俺はこらえようとするが、あっさりと負けてしまう、それは血液だった、赤、あるいは深紅―むしろ赤交じりの黒といったほうがしっくりくる、もしもそれが本当に血液だったとすれば、だけど―それは決壊した堤防を
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