西の空に向かって/こたきひろし
 


背中にぜんまいがついているのでヒトはうつ伏せに寝るしかない。
ぜんまいは男女公平についているから、繁殖の為の体位は極めて限定されている。あくまで生殖の為にのみ行われているから、愛情とか快楽とかが間に入る余地はなくなっている筈たが、それでもそれを求めるヒトの数は減らない。
発覚されしだいに厳罰に処されるとわかっているのに。
そのエネルギーはぜんまいのそれを時にしのいでしまうので大きな社会問題を引き起こしている。

ヒトのなかには自らぜんまいを壊してしまう不届き者もいて、その結果はスクラップ置き場に山積みされて放置されている。腐敗して白骨になって良いことは何もないのに。後を立たないのだ。

最後に
西の空に向かって
という題名とちっとも繋がりそうにないので、これ以上書く意欲をなくしてしまい
作者は途方に暮れた。

途方に暮れた。



そうとも言えない
何となく黄昏ていて
西の空に沈むお日様を見るような
切なさが込み上げてきているよ。



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